尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマとは
尖圭コンジローマ(せんけいコンジローマ)はヒトパピローマウイルス(HPV)による性感染症です。HPVには種類があり、このうち低リスク型の6型と11型が尖圭コンジローマの発症に関連しています。
原因
HPV(6型・11型)に感染している相手との性行為によって、尖圭コンジローマを発症する恐れがあります。
症状
HPV(6型・11型)に感染すると3週間~8ヶ月(平均2.8ヶ月)の潜伏期を経て、性器や肛門周辺に乳頭状、鶏冠状、カリフラワー状の良性のイボが出現します。通常、痛みなどの自覚症状はありませんが、軽い痒みを認める場合があります。
検査
低リスク型HPV検査
スワブ(綿棒)を用いて患部をこする検査です。結果はHPV陽性または陰性と出ますが、型判別はできないため、6型陰性、11型陽性とは分かりません。尖圭コンジローマは視診で十分診断可能なこともあり、当院では低リスク型HPV検査は行っておりません。
治療
3種類の治療法があります。
1 塗り薬
ウィルスへの免疫力を高める塗り薬(ベセルナクリーム)を、イボに塗ります。これによりウイルスの増殖を抑え、さらにウイルス感染細胞に損傷を与えることでイボを消失させます。使用方法は月水金や火木土などスケジュールを決めて1週間に3回塗ります。治療期間はイボの大きさや数により異なりますが、最大16週間(48回)を目安に治療効果を見ながら継続することが推奨されています。
2 液体窒素
-196℃の液体窒素をイボに塗布します。低温のため冷たさや痛みを感じることがありますが、程度は軽いため麻酔なしで施術が可能です。ただ、一度では治らないため日を空けて繰り返し行う必要があります。
3 手術
電気メスや炭酸ガスレーザーを用いて外科的にイボを切除する方法です。皮膚の深部に存在するウイルスには効果がないため、再発の可能性が高い点には注意が必要です。
※当院では液体窒素と手術は行っておりません。
治療費用
ベセルナクリーム(2週間:6回分) | 11,000円(税込) |
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ベセルナクリームの使用方法
1回の使用方法は患部にクリームを塗布し、6~10時間後に洗い流します。通常は就寝前に塗って起床後に洗い流します。
治癒判定
イボの消失を確認して治癒と判定します。ただし、再発が多いため経過観察が必要です。
予防
尖圭コンジローマを予防するためには、性行為(オーラルセックス含む)の際にコンドームを使用することが推奨されます。コンドームは100%の予防効果を保証するものではありませんが、感染リスクを低下させることができます。
ワクチン
尖圭コンジローマの原因であるHPVの感染を予防するワクチン(HPVワクチン)は現在3種類(2価・4価・9価)あります。2価ワクチンはHPVの16型および18型、4価ワクチンはHPVの6型、11型、16型、18型、9価ワクチンはHPVの6型、11型、16型、18型に加えて31型、33型、45型、52型、58型による感染を防ぐ抗体を生成します。HPVは子宮頸癌の原因でもあり、従来ワクチンの接種対象は女性のみでしたが、2020年12月から4価ワクチン(ガーダシル)は男性への接種も承認されています。